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評価:
長嶋 有
文藝春秋
¥ 530
(2007-06)
コメント:なべてこの世はラブとジョブ!
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妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。
「BOOK」データベースより
「猛スピードで母は」に続き、2冊目の長嶋有。
格好のいい女の人たちが書かれていた「猛スピードで母は」と一転し、今回は男性2人の物語。
長嶋有って、言葉のセンスがいいんだよね。かなりツボに入って何度吹き出したことか!「なべてこの世はラブとジョブ」なんて、うまくない?語呂もいいし、何度も声に出して言ってしまったよ。ラブとジョブ!
会社を辞め妻の浮気で離婚した七郎と、大学時代からの友人の津田。こんな風に男って友達同士で会話してるのかぁと思うと、女からしたら面白いような恐ろしいような。
この2人が軸となって、七郎の元妻や津田の恋人?たちやキャバ嬢など、現在と過去を行ったり来たりしながら物語は淡々と進んで行く。
七郎と津田は30代後半。有名なゲームを作ったり、独立して会社を作ったり、結婚して離婚して・・・と、中年とまではいかなくても色々な経験を積んでいる年齢。
社会的に見ればもう立派な立場だったりするんだけど、なんか学生の時から変わってない感じでね。たぶん2人が大学の時からの友人だからだとは思うけど、このいつまで経っても変わらない感覚・・・っていうのにとても共感しちゃう。きっと男の人なら、もっと共感するんだろうなぁ。
津田のラブとジョブにかける貪欲さが目立つけど、七郎もマジメかといえばそうでもなく、2人の掛け合いは絶妙。やっぱ巧いわ、長嶋有!