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評価:
湊 かなえ
新潮社
¥ 1,470
(2012-10-31)
コメント:母と娘の、ちぐはぐで全く交わらない恐ろしくて悲しい愛情の形
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母と娘。二種類の女性。美しい家。暗闇の中で求めていた、無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました―。そしてその日、起こったこと―。
「BOOK」データベースより
「愛能う限り、娘を大切に育ててきました」
・・・しょっぱなからなんて読むか分からない。愛能う限り?さっそく調べてみると「あいあたうかぎり」と読み、愛を精一杯に、とか愛が及ぶ限りというような意味らしい。こんな言葉を使って娘のことを語る母親は、いかにもうさんくさい。
「母の手記」では、母親がいかに娘に対して愛情を与えていたか。
「娘の回想」では、娘がいかに母親に愛されたかったか。
この、お互いのちぐはぐさ、思っていることや行動のすれ違いさが、恐ろしくて悲しい。
母親は娘でもある。極度のマザコンといってもいいぐらい自分の母親が何よりも大好きで、母親に褒められたいがために娘を躾け、育てる。娘が何よりも欲しい母親の視線は、常に自分ではなくお祖母ちゃんに向かっている。
娘が愛する母親のためにすることは、どうやっても母親に届かない。もう、見えている世界が全く違う。母親の言動や行動がさっぱり理解できないし、イライラするばかり。本当に娘が、可哀想で切なくてね・・・。
最後は、丸くおさまってる感じだったけど、なんだかこの先どんでん返しがあるんじゃないか・・・と勘ぐってしまうのです。